葉酸と妊娠初期の胎児の関係
葉酸とは、水溶性ビタミンB群の一種で、血液の生成や免疫機能向上に深く関わっています。
葉酸は、妊娠する前から十分に摂取することによって赤ちゃんの健やかな発育を助ける働きがあるのでママと赤ちゃんには欠かせない栄養素です。
特に妊娠初期(4〜12週)の妊婦さんには絶対に必要です。
なぜならば、この時期に葉酸が不足すると、胎児の細胞分裂に悪影響を及ぼし胎児に神経管閉鎖障害が起こりやすくなると言われているからです。
神経管閉鎖障害とは、妊娠初期に脳や脊髄がつくられる過程で異常が起きることです。
具体的には次のような先天性奇形が現れるリスクが高くなります。
・死産につながる「無脳症」
・歩行障害につながる「二分脊椎症」
・ダウン症
・口唇裂・口蓋裂
・小眼球症
できるならば生まれてくる我が子に先天性奇形が現れないことを望むママがほとんどでしょう。
妊娠初期の妊婦さんは葉酸不足になると胎児にもたらすリスクを軽視せず重くとらえてください。
無脳症
無脳症とは、胎児に現れる致命的な先天性奇形の一種で、頭蓋骨を含む大脳の大部分と小脳が欠如したりする先天異常のことです。
死産となる確率が高いのが特徴ですが、出産できた場合でも永久的に無意識で植物状態が続きます。
無脳症のはっきりとした原因につては解明されていませんが
・遺伝子的要因
・飲酒・喫煙
・高齢出産
・母体の栄養不足
・葉酸の摂取不足
などが要因と考えられています。
二分脊椎症
二分脊椎症とは、脳や脊髄などの神経管の形成時期である妊娠初期に正常に発達せず、脊髄の一部が形成されなかったり変形したりする先天異常のことです。
思うように歩けなかったり、成長とともに足の変形がおこります。
また、感覚が麻痺したり排泄障害もおこります。
二分脊椎症のはっきりとした原因については解明されていませんが
・遺伝子的要因
・飲酒・喫煙
・葉酸の摂取不足
・母体の肥満
・糖尿病
・高熱発作
などが要因と考えられています。
ここで注目すべきは、葉酸をきちんと摂取している場合、発症リスクを70〜80%低減できるということです。
ダウン症
ダウン症は染色体の突然変異によって、21番目の染色体が1本多く3本あるために起こる先天疾患です。
心臓や消化器官系の疾患、筋肉量が少なく運動発達がゆっくり進む、知的発達がゆっくり進む、眼振や斜視、遠視、近視などの眼の症状、難聴などさまざまな合併症が起こる可能性があります。
ダウン症のはっきりとした原因は解明されていませんが、一般的に出産時の母親の年齢が高いほど、ダウン症にかかる確率が上がるといわれています。
口唇裂・口蓋裂
口唇裂・口蓋裂は、先天異常の一つで、妊娠初期(4~12週頃)に何らかの異常が生じ、口唇、口蓋(口の中の天井部分)、はぐきに割れ目裂が残ってしまったものをいいます。
手術を複数回行ったり、長期の治療が必要になったりします。
口唇裂・口蓋裂のはっきりとした原因については解明されていませんが
・遺伝的要因
・母親の出産年齢や内服薬
・感染症
・妊娠中のトラブル
などが要因と考えられています。
小眼球症
小眼球症は、眼球が先天的に小さい病状で全盲になる人も多くいます。
ただし程度が軽い場合は、視力が弱まる(遠視になる)だけで済むこともあります。
視覚以外は健康上特に大きな問題はありません。
小眼球のはっきりとした原因につては解明されていませんが
・遺伝的要因
・妊娠初期(5~6週)でのウイルスによる胎内感
・飲酒
・母親の内服薬
などが要因と考えられています。
まとめ
妊娠初期という時期が胎児の正常な発育にいかに大切か、ということがお分かりいただけたと思います。
葉酸を十分に摂取することで予防できることもあります。
妊娠初期には、特に葉酸が不足しないように心がけましょう。